営業「虎の巻66条」(前書き)

私が不動産業に入り約30年が経ちます。

私は、16歳の時に、あるテレビ番組に出ていた社長に憧れ、私も、社長になると決めました。その為には、お金を貯めなければいけない。高校卒業後、求人誌を見て、業界でも一番給料の高い会社を選び面接に行きました。「就業時間は、朝8時半から夜23時半まで、休みは、月に一度有れば良い方、その代わり、月100万円以上稼ぐ事は出来る、それで良ければ来い。」当時、面接で言われたのは、これだけ、面接時間、数秒、私は、この会社に就職する事に決めた。 

入社して見ると、受話器を手に巻き付けられ、買う気の無い人に、数千万円もするマンションを買いませんかと電話する。いわゆる電話営業です。毎月20名前後の新入社員が入社し、毎月20名前後の社員が辞めて行く。離職率100%の会社です。イスも無く、立ったままで電話をする。同じ会社に居ても、周りは全て敵、月一度の営業発表会では、殴り合いのケンカも珍しくはなく、心を許せる仲間など居ない、一匹オオカミの営業マンの集団です。

私は、この会社で、1年以上働き、営業の基礎を学びました。同期入社も20名位いましたが、1週間後には、5,6人に迄、減り、1ヶ月後には、同期入社組みは、私1人になっていました。びっくりしたのが、昼休みに、昼食に行き、荷物を置いたまま帰って来ない同期社員が居たのですが、先輩社員も、管理職の方も、全然、気にせず、何事も無かったように、午後の電話営業が始まりました。

後から分かりましたが、この会社では、毎月、昼休みに逃げる社員が居て、驚くような事ではありませんでした。今じゃ考えられないですが、冒頭で書いたように、就業時間が、朝8時30分から、夜23時30分、昼休み30分、夕方の休憩15分、休みは月1日有れば良い方です。イスもなく、トイレに行く時は、受話器の根元から、コードを抜き、片手に受話器を持ったまま用を達する訳です。

売上の上がらない社員をゼロ社員と呼び、ゼロ社員は、空気吸うな~と言われたり、電話の相手が出なくて、無言の時間が、1分でも続くと、管理職の方が見張っていて、灰皿が飛んで来ます。夜23時を過ぎ、知らない方のお宅に電話を掛けると、何時だと思ってるのよ~と叱られるだけじゃなく、警察に通報する方も居ます。そんな事は、お構いなしで、私達社員に電話させ続ける、今は、東京都からの指導も有り、電話営業への規制も強くなり、そんな強烈な電話営業をしている会社は無いはずです。

私を巣立ててくれた、この会社も、当時は、不動産業界の『虎の穴』と言われていましたが、今では、自社ブランドを分譲する迄になり、数年前に行ってみたら、イスに座り、のんびり電話営業をしていました。

今でも、忘れる事のない思い出が山ほどありますが、そのひとつ、夕方、カップラーメンにお湯を入れて、3分待っていたら、たまたま社長が営業部に来て、「何やってるんだ、國武~」と言うので、3分待っていますと言うと、「さっさっと食え~」と言われ、堅いままのカップラーメンを食べた事が有る。これが、意外と歯ごたえが有り美味かった。

この会社が、私の営業の基礎を作ってくれました。

 


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